趣味と寄り道

旅行ガイドみたいに読んだ本——「地球の歩き方 全世界株式の歩き方」

「オルカン」という言葉を初めて聞いたとき、何のことだかさっぱりわからなかった。友人がお金の話をしているときに突然出てきた単語で、「えっ、何それ、食べ物?」と聞き返して笑われた。調べてみると、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の略称で、投資信託の一種らしかった。その時は「ふーん、そういうものがあるんだ」で終わったんだけど、それから何となく気になり始めて、少しずつ調べていくうちに、経済という大きな仕組みに興味を持つようになった。

「オルカン」という名前の親しみやすさ

まず最初に気になったのは、名前の親しみやすさだった。「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」という正式名称は、聞いただけで難しそうで近づきたくない感じがする。でも「オルカン」という略称は、なんだか可愛らしくて、むしろ気軽に話しかけられる感じがする。言葉って大事だなと改めて思った。

難しい概念でも、呼びやすい名前がつくと急に身近に感じられる。複雑な金融商品の話も、「オルカン」という言葉で話している人たちの間では、日常会話の一部になっている。言葉が壁を低くするということを、この体験を通して実感した。専門用語って、最初は壁に見えるけれど、慣れ親しむと扉になる。そういう感覚は、他の分野でも同じだと思う。

調べていくうちに見えてきた「世界」

オルカンについて調べていくと、「全世界株式」という言葉の意味に行き着く。簡単に言うと、世界中のたくさんの国や企業の株式に広く分散している金融商品だということだ。世界中、というスケールの大きさに、最初は少し圧倒された。

でも考えてみれば、私たちの日常もすでに世界中とつながっている。スマートフォンも、着ている服も、食べているものも、様々な国が関わっている。それが当たり前すぎて意識しなかったけれど、「世界中の企業」という言葉をきっかけに、改めてそのつながりについて考えるようになった。

アメリカの企業、日本の企業、ヨーロッパの企業、アジアの企業。それぞれの国や地域の経済が動いていて、そのうねりが連動しながら世界全体の経済を形作っている。そういう大きな仕組みについて意識したことが、それまでほとんどなかったと気づいた。オルカンという言葉は、そういう気づきのきっかけになってくれた。

お金と向き合うことへの抵抗感

正直に言うと、それまで私はお金の話が苦手だった。なんとなく、お金のことをじっくり考えるのは生々しくて、あまりしたくないという気持ちがあった。お金の話をする人は欲張りに見えるような、そういう偏った印象を持っていた部分もあったかもしれない。

でも友人がオルカンの話をしていたとき、別にお金持ちになりたいとか、儲けたいとかいう雰囲気じゃなかった。むしろ「将来が不安だから、少しずつ備えておきたい」という、ごく普通の気持ちからだった。それを聞いて、お金と向き合うことは欲張りでも特別なことでもなくて、日常の延長線上にあることなんだと思い始めた。

自分の生活を安定させるために、お金について知ること。これは昔から当たり前のことだったはずなのに、なぜかそれを「難しいこと」「特別な人がすること」と思い込んでいた。その思い込みが少し崩れたのが、オルカンという言葉との出会いだった。

情報が多すぎる時代に何を頼りにするか

オルカンについて調べていくうちに、関連する情報が山ほど出てきた。SNSでも、ブログでも、動画でも、色々な人が色々なことを言っている。正直なところ、何を信じればいいのか、情報の量に飲み込まれそうになる感覚があった。

これはお金の話に限らないけれど、今の時代は情報が多すぎる。誰でも情報を発信できるから、正しい情報と不正確な情報が混在している。その中から何かを判断しようとするのは、思っている以上に体力がいることだと気づいた。

信頼できる情報の見極め方、というのも、これからの時代に必要なスキルだと思う。一つの情報源だけを信じるんじゃなくて、複数の情報を照らし合わせて、自分なりに考えてみること。そういうことを意識するきっかけを、オルカンの情報を調べながら得た気がした。

数字が苦手でも経済に興味を持てた理由

私はもともと数字が得意じゃない。数学は昔から苦手で、家計簿も続かない。そういう人間だから、経済の話は自分には関係ないと思っていた部分がある。グラフや数字が並ぶ説明を見ると、それだけで「難しそう」と感じてシャットダウンしてしまう癖がある。

でも「世界中の国や企業とつながる」という説明は、数字じゃなくて概念として理解できた。複雑な計算が必要なわけじゃなくて、「世界規模でお金の流れを考える」というイメージを持てればいい。そういう入り口の広さが、経済の話に近づく助けになった。

難しいことって、どこから入るかで全然印象が変わると思う。数字から入ると途端に遠くなるけれど、身近な言葉や概念から入ると、案外するりと理解できることがある。オルカンという言葉は、私にとってそういう入り口だった。

知ることが不安を減らす

将来のお金のことを考えると、漠然とした不安を感じることがある。老後はどうなるんだろう、物価が上がり続けたらどうしよう、そういう不安は誰にでもある。でもその不安をただ感じているだけより、少しでも仕組みを知ることで、不安の質が変わってくる気がした。

何もわからない状態での不安は、全部が霧の中にある感じだ。でも少しでも知識がつくと、霧の中の輪郭がぼんやりと見えてくる。全部が解決するわけじゃないけれど、「こういう仕組みの中で自分はいる」という理解が、漠然とした恐怖を少し具体的な課題に変えてくれる。

知ることは、行動することとは違う。でも行動の前に知ることが必要で、その最初の一歩として「オルカンって何?」という疑問から始まった小さな旅は、私にとって意味のある時間だったと思っている。

日常の中で経済を意識するようになった

オルカンについて調べるようになってから、日常の中で経済のニュースが少し気になるようになった。それまでは右から左に流れていた情報が、少しだけ自分ごととして入ってくるようになった気がする。

どこかの国で経済が不安定になっているとか、円安が進んでいるとか。そういった話題が、以前より少しだけリアルに感じられるようになった。世界はつながっていて、遠い国の出来事が自分の生活に影響することもある。そういう感覚を持てるようになったことは、小さいけれど大事な変化だと思っている。

「オルカン」という一つの言葉が、私の世界の見方を少し広げてくれた。それだけで十分すぎるくらいの収穫だった。知識って、つながっていくものだということを改めて感じている。

友人との会話が変わった

オルカンについて少し知識がついてから、友人との会話の質が少し変わった気がした。以前だったら「お金の話はよくわからないから」と黙って聞くだけだったのに、「それってこういうこと?」と聞き返せるようになった。たった少しの知識でも、会話に参加できる感覚が生まれた。知ることが、コミュニケーションを変えるということを体感した瞬間だった。友人も「そうそう、そういうこと」と喜んでくれたし、そこから話が広がることもあった。一つの言葉を知ることで、新しい会話が生まれる。それは読書や勉強でも同じで、何かを知ることは自分の世界を広げるだけじゃなくて、他の人とのつながりも広げてくれる。そういうことを、オルカンという言葉を通して実感した。

難しいことを「知らなくていい」と思わないために

以前の私は、お金のこと、経済のこと、投資のこと、そういう難しそうな話は「自分には関係ない」と思って遠ざけていた。難しそうに見えるものを最初から諦めるのは、楽だけれど損をしている気もする。オルカンについて調べた体験を通して、最初は難しそうに見えることでも、入り口さえ見つかればそんなに怖くないと思えるようになった。何かを知らないでいるということは、知った上で「今はいい」と判断するのとは全然違う。知らないまま遠ざけているのと、知った上で選択するのとでは、同じ行動でも意味が変わってくる。そういうことを意識するようになったのも、この体験から得た変化の一つだと思っている。難しそうに見えるものに、少しだけ近づいてみること。それが新しい視野を開いてくれることがある。

知識は少しずつ積み重なっていく

オルカンについて調べ始めたことで、関連する言葉や概念にも少しずつ触れるようになった。知識というのは孤立しているんじゃなくて、つながっているんだということを改めて感じた。一つを知ると、次の疑問が生まれて、それを調べると別のことが見えてくる。そういう連鎖が、少しずつ視野を広げてくれる。最初の一歩は「オルカンって何?」という単純な疑問だったけれど、それが経済への興味になり、世界のつながりへの関心になった。知識は少しずつ積み重なって、気づいたら以前より少し広い場所に立っている感じがする。そのきっかけをくれた友人の一言と、「オルカン」という言葉に、不思議な感謝を感じている。

知ることの楽しさは、答えを得ることだけじゃなくて、新しい問いが生まれることにもある。「オルカン」という言葉から始まった小さな旅は、まだ続いている。

まとめに代えて

「オルカン」という言葉一つを調べただけで、世界経済のつながり、お金との向き合い方、情報の見極め方、知識が広がる楽しさ、といったことについて考えるきっかけをもらった。最初は「何それ、食べ物?」と笑われていた私が、今では少しだけその言葉の意味を理解している。それだけで十分、大きな変化だと思っている。何事も、知ろうとする一歩が全ての始まりだ。その一歩を踏み出せたことに、素直に満足している。

投資の本なのに旅行気分で読める、という体験は初めてだった。読書の楽しさって、こういう予想外のところにあるんだなと改めて感じた一冊だった。

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