私はものを持たない暮らしをしていますが、本だけは特別な存在です。とはいえ、本棚にぎっしり並べているわけではありません。今日は、ミニマリストなりの本との付き合い方を書いてみます。
最近いちばん心に残った一冊
最近読んで、いちばん心に残ったのは、江本マシメサさんの『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』という小説です。「小説家になろう」で読める作品です。
雪深い辺境を治める若い伯爵と、元軍人の女性が「1年間のお試し婚」として共同生活を始める物語なのですが、私が惹かれたのは恋愛の部分よりも、その暮らしの描き方でした。
トナカイを狩る、獲物を余さず使う、保存食を作る、厳しい冬を越える、共同体で助け合う。そういう営みが、特別な「イベント」ではなく、当たり前の「日常」として描かれているんです。
読んでいると、歴史書や民族学の本を読むよりもずっと自然に、その土地の人々の暮らしや価値観を、まるで自分がその一員として生きているかのように追体験できました。「なぜその土地でその暮らし方になるのか」が、物語を通して体に入ってくる感覚が、とても好きです。
紙と電子、私の使い分け
本は紙でも電子でも読みます。ただ、買うなら基本は紙です。理由は単純で、電子は売れないけれど、紙なら読み終わったあとに売れるからです。小説家になろう、やカクヨムなどのWEB小説サイトで探すことも多いです。
読む場所は家が多いですが、キャンプや旅行のお供に持っていくこともあります。旅行のときは、図書館で「るるぶ」や「マップル」、その土地の歴史にちなんだ本を借りて持っていきます。
「最後まで読まなきゃ」とは思わない
読み始めてから、「これはもう知っている内容だった」「思っていたのと違った」と気づくことは、よくあります。難しくて読み進められないこともあります。
そんなときは、無理をしません。興味を惹かれた部分だけ読んで、あとは返却したり売却したり。「最後まで読まないといけない」という縛りは、私にはありません。自分が読みたいと思うところだけを、楽しく読むようにしています。
ミニマリストの、本の持ち方
物を増やしたくないので、本は基本的に図書館を利用します。じつは、図書館が近いことは、今の家を借りる決め手のひとつでもありました。
以前はKindle Unlimitedも使っていましたが、自分の読みたい本があまりなかったので解約しました。どうしても読みたい本は、ネットで買って、読み終わったらすぐメルカリなどで売ります。
そして、どうしても手元に残しておきたい本は、置くスペースをあらかじめ決めて、そこに入る分だけ、と決めています。
物を減らしても、読書は諦めない。借りる、買って売る、厳選して残す。この使い分けで、身軽さと「読みたい気持ち」の両方を、無理なく続けられています。
本を読む時間の作り方
「本を読みたいけれど時間がない」というのは、本好きの人がよく直面する悩みだと思う。私もその一人だった。仕事が忙しい日々が続くと、本を手に取る気力が夜には残っていない。でも少し考え方を変えたら、読む時間が自然と生まれてきた。一日に一時間まとめて読もうとするのをやめて、隙間の時間を使うようにしたのだ。電車の中、昼休みの十五分、寝る前の二十分。それだけでも積み重なると、一週間で思ったよりたくさん読める。
大事なのは「まとまった時間がなくても読む」という意識を持つことだ。本は一気に読まなくてもいい。少しずつ読み進めながら、物語の世界に少しずつ深く入っていく。その感覚が好きになってから、本との距離がぐっと縮まった。スマートフォンを見る代わりに本を開く習慣をつけたら、一ヶ月で読める冊数が明らかに増えた。時間は「作る」ものじゃなくて「使い方を変える」ことで生まれてくると思っている。
読んだ本を積み上げていくことの意味
一冊の本を読み終えたとき、何かが変わる感覚がある。知識が増えたとか、感動したとか、そういう大きな変化じゃなくても、確かに何かが積み重なった気がする。そういう積み重ねが続いていくと、去年の自分と今の自分では、見えている景色が少し違ってくる。本を読むということは、他人の頭の中を借りて世界を見ることだ。一人の人間が一生かけて考えたことを、数時間の読書で共有できる。それはすごく効率的で、かつ深い体験だと思う。
本棚を見返すと、その時々に自分が何を求めていたかがわかる気がする。悩んでいた頃に読んだ本、前向きになりたかった頃に読んだ本、ただ楽しみたかった頃に手に取った物語。本は記録でもある。本棚は自分の歴史だと言う人がいて、その言葉にとても共感した。本は読み終わった後も、棚に並んで自分と一緒にある。そういう存在として、本を大切にしたいと思っている。
再読の楽しさについて
気に入った本を何度も読み返すことがある。同じ本を二度、三度と読むのは時間の無駄だと思う人もいるかもしれないけれど、私はそう思わない。一度目に気づかなかったことに、二度目で気づくことがある。読んでいる自分が変わっているから、同じ文章が違って見えることがある。
特に感情を揺さぶられた本は、時間を置いて読み返すと面白い。最初に読んだときは物語の展開を追うことに必死で、細かい表現を味わう余裕がなかった。二度目に読むと、一度目で追いかけていた結末を知っているから、過程の描写をじっくり楽しめる。そうすると全然違う本を読んでいるような新鮮さがある。本はそういう形で何度でも楽しめる媒体だと思っている。
本を人に勧める楽しさ
好きな本を誰かに勧めるのが好きだ。「この本、絶対好きだと思う」と渡して、後で「面白かった」と言ってもらえたときの嬉しさは格別だ。趣味や価値観の合う人への本の贈り物は、お金では測れない何かがある。同じ本を読んだ人と話すと、同じ場面でも感じ方が違ったり、同じ感動を共有できたりして、その会話が豊かだ。
逆に人から本を勧めてもらうのも好きだ。自分だけでは手に取らなかったかもしれない本を、誰かの一言がきっかけで読んでみたら、すごく良かったということが何度もある。「これ読んで」という言葉の中には、「あなたならきっとこれを好きだと思う」という気持ちが込められている。そういう形のコミュニケーションとして、本の贈り合いは今の時代でもとても豊かな行為だと思っている。
本との長い付き合いを続けるために
本を読む習慣を長く続けるためには、義務感にしないことが大切だと気づいた。「月に〇冊読まなきゃ」「この本は読んでおかなきゃ」という気持ちになると、読書が作業になってしまう。楽しくない作業は続かない。そうじゃなくて、今気になる本を、気になったときに手に取る。読み途中で別の本が読みたくなったら、そちらに移ってもいい。途中でやめても構わない。
自分のペースで、自分が楽しいと思う読み方をすることが、長く本と付き合い続けるための秘訣だと思っている。読書に正解はない。どんな本をどんなペースでどんな順番で読もうと、自由だ。その自由さが読書の一番の魅力で、それを忘れないようにしたい。本は逃げない。読みたいときに読めばいい。そういう気持ちでいると、本は友人みたいな存在になってくれる気がする。
これからもたくさんの本と出会っていきたい。そのたびに少しずつ自分の世界が広がっていく。それが読書を続ける、一番シンプルな理由だ。
読書が暮らしに与えてくれるもの
本を読む習慣がある暮らしと、そうでない暮らしでは、日常の質が違うと感じている。本を読んでいると、日常の中のちょっとした出来事に対する解像度が上がる気がする。誰かの言葉が刺さったとき、景色を見て何か感じたとき、そういう小さな感覚を言葉に変える力が、読書を通して少しずつ育まれてくる気がする。言語化できると、体験がより深く自分のものになる。本から言葉を受け取り、それが自分の中に積み重なって、また自分の言葉になっていく。そういうサイクルが、少しずつ自分という人間を作っていくのだと思っている。読書は単なる娯楽じゃなくて、自分自身を育てる行為でもある。そういう意味で、本との付き合いはこれからもずっと大切にしていきたい。
本が教えてくれたこと
本から学んだことは、知識だけじゃない。他の人の人生を通して、自分の人生について考えるきっかけをもらうことがある。フィクションの主人公の選択に共感したり、エッセイの著者の感性に驚いたり、ノンフィクションで知った事実に衝撃を受けたり。そういう体験の積み重ねが、自分の価値観を少しずつ形作っていく。一冊の本が、長い時間をかけて自分に影響を与え続けることもある。読んだ瞬間はそれほど刺さらなかったのに、後から「あの本に書いてあったことはこういうことだったんだ」と腑に落ちることもある。本との付き合いは、読んで終わりじゃなくて、読んだ後も続いていく。それが本の面白さの、一番根っこにある部分だと思っている。
本屋に行く楽しさ
本との付き合い方を語るなら、本屋に行く楽しさも外せない。目的の本を探しに行くだけじゃなくて、ぶらぶらと棚を眺めながら思わぬ出会いを楽しむのが好きだ。「こんな本があったんだ」という発見が、本屋では毎回ある。タイトルに惹かれて手に取った本が、実はずっと探していたものだったという経験もある。オンラインで買うことも増えたけれど、本屋のあの空気は代わりにならない。紙の匂い、並んだ背表紙の色、平積みの表紙。そういう全体の雰囲気の中に身を置くと、読みたい気持ちが自然と高まってくる。本屋は、本との出会いの場だと同時に、自分が今どんなことに興味があるかを確認できる場でもある。棚の前で立ち止まった場所が、今の自分が向いている方向を教えてくれることがある。これからも本屋に足を運び続けたい。
本との付き合い方は、人それぞれでいい。買っても売ってもいい。図書館を使ってもいい。自分の暮らしに合った形で、本を楽しんでいければそれで十分だと思っている。


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